最終更新日:2026-02-16 17:09 +09:00

エスペラントとは

Kio

estas

である

Esperanto?

エスペラント

Kio estas Esperanto?

何 である エスペラント

「エスペラントってなに?」

エスペラントとは、19世紀ポーランドの眼科医、L. ザメンホフによって作られた計画言語です。自然言語の不規則性を取り除いた言語なので、世界のみんなが簡単に、そして第二言語として平等に学べるように一応なっています。

エスペラントの最大の特長は、単語の品詞が語尾によって容易に判別できる点です。例えば名詞は必ず -o で終わり、形容詞は -a、副詞は -e で終わります動詞については若干複雑で、時制や法によって -i, -as, -is, -os, -us, -u などという複数の語尾をもっていますが、いずれにせよ、これさえ覚えれば動詞であることはすぐに分かります(下表)。

品詞語⁠尾意⁠味
名詞-ofino終わり
形容詞-afina終わりの
副詞-efine終わりに
動詞不定形-ifini終えること
現在-asfinas終えつつある,(習慣的に)終える
過去-isfinis終えた
未来-osfinos終えるだろう
仮定法-usfinus終えられたら
意志法-ufinu終えるように

名詞に関して、エスペラントには対格「~を」を表す語尾 -n があります。この際注意すべき点として、名詞を修飾する形容詞も対格語尾をとります。下の例の場合、kampuson「キャンパスを」を修飾する形容詞 belan「美しい」も対格の形になっています。言語学ではこれを一致と呼びます。

Hokkajda Universitato havas tre belan kampuson.

Hokkajd-a

北海道-形容詞

Universitat-o

大学-名詞

hav-as

所有-動詞.現在

tre

とても

bel-a-n

美-形容詞-を

kampus-o-n

キャンパス-名詞-を

Hokkajd-a Universitat-o hav-as tre bel-a-n kampus-o-n

北海道-形容詞 大学-名詞 所有-動詞.現在 とても 美-形容詞-を キャンパス-名詞-を

「北海道大学はとても美しいキャンパスを有している」

またエスペラントには単数・複数の区別があり、複数語尾は -j となります(下例)。上述の対格と合わさる場合は -jn です。

Ĉe Hokkajda Universitato vivas bovoj, ŝafoj, vulpoj, sciuroj kaj homoj.

Ĉe

Hokkajda Universitato

北海道大学

vivas

生息している

bov-o-j

牛-名詞-複数

ŝaf-o-j

羊-名詞-複数

vulp-o-j

キツネ-名詞-複数

sciur-o-j

リス-名詞-複数

kaj

hom-o-j

ヒト-名詞-複数

Ĉe {Hokkajda Universitato} vivas bov-o-j ŝaf-o-j vulp-o-j sciur-o-j kaj hom-o-j

に 北海道大学 生息している 牛-名詞-複数 羊-名詞-複数 キツネ-名詞-複数 リス-名詞-複数 と ヒト-名詞-複数

「北海道大学には牛や羊、キツネ、リス、ヒトが生息している」

主格(主語になる形)と対格は語尾で区別できるため、エスペラントは英語ほど語順に制約がなく、上の例のように VS(動詞–主語)の語順も可能です。

文字と発音

文字 音価 文字名 備考
A a /a/ a アー  
B b /b/ bo ボー  
C c /t͡s/ co ツォー c を [t͡s] と発音するのはドイツ語やポーランド語、チェコ語と一緒
Ĉ ĉ /t͡ʃ/ ĉo チョー  
D d /d/ do ドー  
E e /e/ e エー  
F f /f/ fo フォー  
G g /g/ go ゴー  
Ĝ ĝ /d͡ʒ/ ĝo ヂョー ĉ を濁らせた音. 日本語では語頭によく現れる. e.g. 上等 [d͡ʒoːtoː] 1
H h /h/ ho ホー  
Ĥ ĥ /x/ ĥo ホー k の舌の位置で摩擦音を出す. あまり出番がない音. 例:la ĉeĥa “チェコ語”
I i /i/ i イー  
J j /j/ jo ヨー  
Ĵ ĵ /ʒ/ ĵo ジョー ŝ を濁らせた音. 日本語では母音の後によく現れる. e.g. 登場 [toːʒoː] 1
K k /k/ ko コー  
L l /l/ lo ロー  
M m /m/ mo モー  
N n /n/ no ノー  
O o /o/ o オー  
P p /p/ po ポー  
R r /r/ ro ロー  
S s /s/ so ソー  
Ŝ ŝ /ʃ/ ŝo ショー  
T t /t/ to トー  
U u /u/ u ウー  
Ŭ ŭ /w/ ŭo ウォー  
V v /v/ vo ヴォー  
Z z /z/ zo ゾー  
  • 表をご覧になるとわかる通り、エスペラントには ĉ, ĝ, ĥ, ĵ, ŝ, ŭ という符号のついた文字があります。この符号は 字上符 (じじょうふ) と呼ばれています。エスペラントだと ĉapelo「帽子」です。これらの文字は通常のキー配列では入力できず別途ソフトウェアを用意する必要があるので、すぐに入力できない場合は cx, gx, hx / ch, gh, jh / ^c, ^g, ^h などのような代用表記を用いることがあります。
  • 当サイトでは、X-方式による入力補助ツールを提供しています。SNSへの投稿ボタンも用意しているので、よろしければご活用ください。
    日本語版, エスペラント版

文法

ここではごく簡単に基本的な文法を紹介します。もっと深く学んでみたい、という方は以下のサイト・参考書をご覧ください。

冠詞

エスペラントには定冠詞 la があります。不定冠詞はありません。

正直日本語が母語の者にとっては、定冠詞があると聞いただけで「うわっ面倒くさい」となるかもしれません。安心してください、エスぺランティストのなかにもそういう人は多いです。ですので、「冠詞がない言語の話者は、おのおのの母語らしくエスペラントを話そう」と主張し実践する人たちもいます。あまり気張らずにエスペラント学習を進めていきましょう。

品詞語尾

名詞 -o ludo 「遊び」
形容詞 -a luda 「遊びの」
動詞 (不定形) -i ludi 「遊ぶこと」
副詞 -e lude「遊びで、ふざけて」

動詞

不定形 -i
現在 -as
過去 -is
未来 -os
仮定法 -us
意志法 -u
  • 仮定法と意志法は時制の区別をもちません。
  • 仮定法は非現実の動作や空想上の動作を表します。英語の仮定法やフランス語の条件法・接続法に相当します。
  • 意志法は願望や命令、勧誘を表します。”Ludu!” と言うと「遊べ!」や「遊ぼう!」といった意味を表します。どちらの意味か明示したい場合は、”Vi ludu!”「お前は遊ぶように」で命令を、”Ni ludu!”「わたしたちは遊ぶように」で勧誘を表します。

複数語尾 -j

名詞と形容詞には複数を表すマーカー -j がつきます。

  • 単数
    • orfiŝo「金魚」
    • beleta orfiŝo「かわいい金魚」
  • 複数
    • orfiŝoj「金魚たち」
    • beletaj orfiŝoj「かわいい金魚たち」

対格語尾 -n

名詞と形容詞には対格「~を」を表すマーカー -n がつきます。複数語尾とともに用いられる場合は -jn になります。

  • 主格
    • Estas beleta orfiŝo.「かわいい金魚がいる」
  • 対格
    • Mi havas beletan orfiŝon.「わたしはかわいい金魚を飼っている」
    • Oni vendas beletajn orfiŝojn.「(誰かが)かわいい金魚たちを売っている」

分詞

動詞語幹に以下の接辞をつけると分詞になります。接辞の後に -o, -a, -e(名詞、形容詞、副詞の語尾)をつけて使用します。

  能動分詞 受動分詞
進行相 -ant- -at-
完了相 -int- -it-
未然相 -ont- -ot-
  • 「エスペラント」という名称はザメンホフの別名 Doktoro Esperanto「エスペラント博士」に由来します。もとは動詞 esperi「希望する」の現在能動分詞 esperanto「希望する者」から来ています。
  • 受動文は_be_動詞 esti + 受動分詞の形容詞形で形成されます。
    • Ili konstruis la domon.(能動文)
      = they built the house「彼らがその家を建てた」
    • La domo estis konstruita de ili.(受動文)
      = the house was built by them「その家は彼らによって建てられた」

接辞

エスペラントでは、覚えるべき語根(語の基本的意味を示す要素)の数を減らすために、接辞をたくさん用意して一つの語根から様々な語彙を作るという方策を取っています。エスペラントの特徴の一つです。ここではまず Plena Manlibro de Esperanta Gramatiko (PMEG, v15.5 2024)『エスペラント文法完全マニュアル』に記載されている公式の接辞を紹介し、続いて非公式の接辞をいくつか紹介します。

接頭辞

接頭辞 意味
bo- 婚姻による親族関係 patro 父 > bopatro 義父
filo 息子 > bofilo 婿
ĉef- 長, 最重要 redaktoro 編集者 > ĉefredaktoro 編集長
urbo 都市 > ĉefurbo 首都
dis- 分離 iri 行く > disiri 散会する
haki 切る > dishaki 切り刻む
ek- 動作の開始, 一瞬の変化 iri 行く > ekiri 出発する
brili 輝く > ekbrili 閃光を放つ
eks- 前, 元 edzo 夫 > eksedzo 元夫
moda 流行の > eksmoda 流行遅れの
ge- 男女両方 patro 父 > gepatroj 両親
edzo 夫 > geedzoj 夫妻
mal- 正反対 bona 良い > malbona 悪い
ami 愛する > malami 憎む
mis- 誤り, 不出来 kompreni 理解する > miskompreni 誤解する
faro 行為 > misfaro 過ち
pra- 時間的に遠い lingvo 言語 > pralingvo 祖語
ido 子ども > praido 子孫
re- 再び lerni 学ぶ > relerni 復習する
veni 来る > reveni 戻る

接尾辞

接尾辞 意味
-aĉ- 粗悪 knabo 男の子 > knabaĉo 悪ガキ
manĝi 食べる > mangâĉi 汚い食べ方をする
-ad- 動作の継続 lerni 学ぶ > lernado 学習
iri 行く > iradi 通う
-aĵ- 事物 bela 美しい > belaĵo 美しいもの cf. belo 美
trinki 飲む > trinkaĵo 飲み物
-an- 一員 klubo クラブ > klubano クラブの一員
Usono 米国 > usonano 米国民
-ar- 集合体 vorto 単語 > vortaro 辞書 cf. ロシア語 слово > словарь
homo 人 > homaro 人類
-ĉj- 男性の愛称 patro 父 > paĉjo 父ちゃん
Zamenhofo ザメンホフ > Zamĉjo ザメンホフおじちゃん
-ebl- 受け身の可能 manĝi 食べる > manĝebla 食用の
iri 行く > irebla 通行可能な2
-ec- 性質, 状態 bela 美しい > beleco 美しさ cf. belo 美
ruĝa 赤い > ruĝeca 赤っぽい
-eg- 程度が著しい ridi 笑う > ridegi 大笑いする
bone 良く > bonege とても良く
-ej- 場所 lerni 学ぶ > lernejo 学校
libro 本 > librejo 書店
-em- 傾向, 嗜好 timi 恐れる > timema 怖がりな
pura きれいな > purema きれい好きの
-end- 受け身の義務 pagi 支払う > pagenda 支払われるべき
-er- ごく小さな一部分 sablo 砂 > sablero 砂つぶ
-estr- 指導者 ŝipo 船 > ŝipestro 船長
-et- 程度が弱い, かわいい ridi 笑う > redeti ほほえむ
mano 手 > maneto おてて, patrino 母 > patrineto ママ
-id- bovo 牛 > bovido 子牛
-ig- 他動詞化, 使役化 akra 鋭い > akrigi 鋭くする
sidi 座っている > sidigi 座らせる
lerni 学ぶ > lernigi 学ばせる
-iĝ- 状態の変化, 反使役化 akra 鋭い > akriĝi 鋭くなる
sidi 座っている > sidiĝi 座る
fermi 閉める > fermiĝi 閉まる
-il- 道具, 手段 ŝlosi 施錠する > ŝlosilo 鍵
manĝi 食べる > manĝilo 食器
-in- 女性 patro 父 > patrino 母
knabo 少年 > knabino 少女
-ind- 受け身の評価 ami 愛する > aminda 愛するに値する
vidi 見る > vidinda 見る価値のある
-ing- 入れ物 glavo 刀 > glavingo 鞘
ovo 卵 > ovingo エッグ・カップ
-ism- 主義 anarkio 無支配 > anarkiismo 無政府主義
-ist- 専念する人 Esperanto > Esperantisto エスペラントを使う人
-nj- 女性の愛称 patrino 母 > panjo 母ちゃん
-obl- 倍数 du 2 > duobla 2倍の
-on- 分数 du 2 > duono 2分の1
-op- 群数 du 2 > duopo 2人組 ※duoも可
-uj- 収納具, 国, 植物 mono お金 > monujo 財布
japano 日本人 > Japanujo 日本
Esperanto > Esperantujo エスペラント共同体
pomo リンゴの実 > pomujo リンゴの木
-ul- ある性質の人 juna 若い > junulo 若者
miliono 百万 > milionulo 億万長者
-um- 意味は未定義 brako 腕 > brakumi 抱きしめる
aero 空気 > aerumi 空気を送る
kolo 首 > kolumo 襟
ほかに適切な接辞がないときに使う

非公式の接辞

  • 国名を表す -i-
    国名は規範としては -uj- で表すことになっていますが、-i- を使う人もふつうにいます。むしろ -i- の方が一般的かもしれません。
    e.g. Japanio, Germanio / Japanujo, Germanujo
  • 男性を表す -iĉ-
    伝統的に、人物を表す語根は本来的に男性を指し、女性を指す場合は接尾辞 -in- を付加することになっています3。例えば「patro 父」から「patrino 母」が形成されます。しかしこれでは男女を明示しない「親」を表現できないという問題があり、また現代のジェンダー問題も考えると、少々不自由なところがあります。そこで、語根レベルでは動物の雌雄を含意せず、雌雄の標示は両性とも接辞で行おうとする立場があります。この場合、patro は男女を明示しない「親」を意味し、父・母はそれぞれ patriĉo, patrino と接辞で示すことになります。ちなみに、この ĉ / n の対立は愛称を作る接辞 ĉj /nj から類推した結果だと思われます。

数詞

基数詞は例外的に品詞語尾を持ちません。0 から 999999 までを表すことができます。100万以上は基数詞+名詞 miliono「百万 106」, miliardo「十億 109」, biliono「千兆 1012; 十億 109」などを使って表します。

0 nul 10 dek
1 unu 100 cent
2 du 1000 mil
3 tri    
4 kvar    
5 kvin    
6 ses    
7 sep    
8 ok    
9 naŭ    
  • 11, 12, 13 : dek unu, dek du, dek tri, …
  • 20, 30, 40 : dudek, tridek, kvardek, …
  • 200, 300, 400 : ducent, tricent, kvarcent, …
  • 2000, 3000, 4000 : du mil, tri mil, kvar mil, …
  • 2026 : du mil dudek ses
  • 100万, 200万 : unu miliono, du milionoj

序数詞は基数詞に形容詞語尾 -a をつけたものに等しいです。副詞語尾 -e をつけて「~番目に」という意味にすることもできます。

  • 1番目, 2番目, 3番目 : unua, dua, tria, …
  • 20番目, 21番目 : dudeka, dudek-unua / dudek unua
  • 最初に, 2番目に : unue, due

代名詞

単数複数
主格対格所有主格対格所有
1人称miminmianininnia
2人称vivinviavivinvia
3人称男性lilinliailiilinilia
女性ŝiŝinŝia
中性ĝiĝinĝia
不定onioninoniaonioninonia
再帰sisinsiasisinsia
  • 所有代名詞は人称代名詞 mi, vi, li, … に形容詞語尾 -a を付加したものになります。形容詞と同じように、修飾する名詞と数・格において一致します。
    • mia amiko「わたしの友人」
    • miaj amikoj「わたしの友人たち」※「わたしたちの友人」は “nia amiko”
    • mian amikon「わたしの友人を」
  • 再帰代名詞 si「~自身」は3人称にのみ使います。1, 2人称の再帰は人称代名詞と同形です。lavi「~を洗う」という動詞を例に比較してみましょう。
    • Mi lavis min.「私は(自分の)体を洗った」
    • Vi lavis vin.「あなた・あなた方は体を洗った」
    • Li lavis sin.「彼は体を洗った」
    • Li lavis lin.「彼は彼(彼自身ではない別の男性)の体を洗った」
  • 再帰代名詞は同じ節のなかの主語を照応する4ため、その性質上、主語にはなれません。主格 si は前置詞とともに用いられる場合にのみ現れます。
  • 不定代名詞 oni は不特定の人物や未知の人物を表したり、意図的に人物をぼかしたりするときに使われます。
    • oni diras, ke ~ : 英語の “they say that ~”「~と言われている」
    • oni sidas: 「人が座っている」
  1. 日本語のヂ, ジは後部歯茎音 [d͡ʒ, ʒ] というよりは歯茎硬口蓋音 [d͡ʑ, ʑ] で記述されることの方が多いが、これらの音は少なくとも日本語では区別されないので、ここでは便宜上 [d͡ʒ, ʒ] と表記する。ヂ, ジを後部歯茎音で発音する人も少数ながら実際にいるので、このIPA表記は間違いではない。 ↩︎ ↩︎2

  2. -ebl- (-ind-, -end- も同様) は基本的に他動詞の語根に付加されるが、自動詞のなかでも目的語を取りうるものであれば接辞を付加できる場合がある (PMEG: “Oni iafoje uzas EBL (kaj ankaŭ IND kaj END) post verbo, kiu normale estas senobjekta, sed kiu tamen iafoje havas objekton”)。……というのが規範に則った説明だが、それ以外の自動詞でも -ebl- が使用される例が少数ながら観察される。例えば、「fali 落下する > falebla 落下しやすい」や「rompi 壊す > rompiĝi 壊れる > rompiĝebla 壊れやすい ※rompeblaのほうが一般的」「flui 流れる > fluebla 流動性の」などがある。いま挙げた例は典型的な非対格動詞である。非対格動詞 unaccusative とは主語が動作主(意味上の主語, 外項)ではなく対象物(意味上の目的語, 内項)であるような自動詞であり、これに対して主語が動作主であるような自動詞を非能格動詞 unergative という。「iri, 行く, go」は非対格的とみなされることも多いが、「irebla 通行可能な」においては非能格的な解釈がなされ、新たに目的語が生起して iri vojon「道を行く」からirebla vojo「通行可能な道」が生成される推測できる。以上のことを図式化すると、次のようになる:
    ①Vが他動詞および目的語を取る一部の非能格動詞の場合
    《外項:動作主》が《内項:対象物》をVする→《内項》はV-ebla だ
    manĝi la ranon カエルを食べる > la rano estas manĝebla そのカエルは食用だ
    iri vojon 道を行く > irebla vojo 通れる道
    ②Vが非対格動詞の場合
    《内項》がVする →《内項》は V-ebla だ。
    objekto rompiĝas 物体が壊れる > ?rompiĝebla objekto 壊れやすい物体
    規範的には①の場合にのみ接辞 -ebl- が使用されるが、これは「~されうる povas esti farata」という受け身の意味が保持されている結果だと言える。通言語的に非人称受動文(自動詞の主語を削除するタイプの文)は主として非能格動詞からしか作られないのも、これと同様の現象である(cf.「雨に降られる」は言えるが「地震に起こられる」はふつう言わない)。いっぽう仮に②の場合も容認されるとしたら、一般化して、動詞が内項を取るならば理論的には一応 -ebl- を付加することができると言えそうである。 ↩︎

  3. 職業名詞に関しては、女性を表す -in- がないからといって男性に限定されるようなことはありません。kuracisto は男女を明示しない「医者」で、あえて kuracistino「女医」と言うことはあまりありません。 ↩︎

  4. 言語学の話になるが、束縛理論でよく出される Max boasted that the queen invited Lucie and himself for a drink.”「マックスは女王がルーシーと自分を飲みに招待してくれたと自慢した」みたいな形式の文はエスペラントではどれくらい容認されるのだろうか (e.g. ?Max fanfaronis, ke la reĝino invitis Lucie kaj sin por trinkaĵo.)。PMEG の 11.6.2. Si en kompleksaj frazoj では “Oni ankaŭ ne uzu si kiel subjekton de subfrazo, nek kiel parton de la subjekto de subfrazo, kun la celo, ke si reprezentu la subjekton de la ĉeffrazo.” とあり、この書き方だとたぶん誤りとみなされそうだ。実際に使う人はそれなりにいそうだが…… ↩︎